最近では「頭金ゼロでもマイホーム購入OK!」という広告を見かけることも増えました。
確かに、金融機関によってはフルローン(=購入価格の全額を借りられる)も可能です。
ですが、「頭金ゼロで買える」=「安心して買っていい」というわけではありません。
頭金は、単なる“前払い”ではなく、その後のローン返済や生活の安定にも大きく関係する重要な資金です。
家の購入を検討している方に向けて、頭金の目安やメリット・注意点を分かりやすく解説します。
「頭金」とは、住宅購入時に現金で支払う自己資金のこと。
具体的には、住宅価格の一部を自分で先に支払い、残りを住宅ローンで借りるという形になります。
たとえば
•住宅価格:3,000万円
•頭金:600万円(=20%)
•ローン:2,400万円
このように、頭金を多く出すほど、ローンの金額は少なくなり、将来の返済負担も減らすことができます。
多くの住宅ローン相談サイトや住宅購入者の調査によると、頭金の目安は**物件価格の10〜20%**と言われています。
ただし、実際には「1割あれば安心」というケースもあれば、「手元資金の事情でゼロ」も存在します。
そのため、平均としては約400万〜500万円前後の自己資金を用意している人が多いようです。
頭金を用意することで得られるメリットは大きく、主に以下の3つがあります。
借入金額が少なければ、月々の支払額も当然少なくなります。
結果として、生活費に余裕が生まれたり、貯金もしやすくなったりします。
銀行によっては、借入金額が物件価格の90%以内(=頭金10%以上)であることを条件に、
低金利プランを適用してくれる場合があります。
これは長期的に見ると、数十万円以上の利息差が出ることもあります。
頭金が多いということは、それだけ経済的な余裕があるということ。
そのため金融機関からの信頼度も上がり、審査がスムーズになる可能性が高くなります。
もちろん、頭金を出せばいいという話でもありません。
注意したいのは、無理して頭金を出しすぎると、生活資金が不足してしまうことです。
頭金は、「出せるだけ出す」ではなく、「出しても生活が回る範囲」で考えることが大切です。
✅ 住宅購入後も以下の支出があります。
•引っ越し費用・家具家電の購入
•火災保険や登記費用などの初期費用
•将来のメンテナンス費用や固定資産税
•お子様の進学や急な出費 など
そのため、手元に100〜200万円以上は残しておくのが理想的とされています。
以下のようなケースであれば、頭金が少なくても対応できる可能性があります。
共働きで安定した収入がある
貯金はあるが、あえて資金を他に残したい(教育費や事業資金など)
住宅価格が比較的低く、月々の返済額が十分に抑えられる
ただし、これらはリスクを理解したうえで判断する必要があります。
金融機関によっては、融資額が物件価格の90%以内の場合に、低金利プランが適用されることがあります。
つまり、頭金を1〜2割でも入れておくことで、同じ借入でも返済総額が大きく変わる可能性があるのです。
例えば、同じ3,000万円の物件を購入するとして…
頭金ゼロ → フルローン → 金利1.5%
頭金600万円 → 2,400万円ローン → 金利0.8%などと
このように、借入額が少ないだけでなく、金利自体も優遇されることがあるため、
頭金は“未来のコスト削減”にもつながります。
住宅ローンの審査では、**返済比率(年収に対する返済額の割合)**や信用力のほかに、
「自己資金の有無」も重要なチェックポイントです。
頭金があることで、
•お金の管理ができている
•計画的に資金を貯められる
•借入額が適切である
と判断されやすくなり、審査に通りやすくなる可能性も上がります。
もちろん、頭金ゼロで家を購入することも不可能ではありません。
実際にフルローンで購入している人もいます。
ですが、その場合には以下のようなリスクがあることを理解しておきましょう。
借入金額が多ければ、当然、毎月の支払いも増えます。
例えば同じ金利でも、フルローンだと数万円単位で月々の負担が変わることも。
さらに、固定資産税・修繕費・管理費・火災保険など、「住宅ローン以外にかかるコスト」も見落とせません。
頭金をゼロにすると、物件価格とローン残債がほぼイコールになります。
将来、万が一家を売却することになっても、
「ローンの方が多く残っている」という“オーバーローン状態”になるリスクもあるのです。
頭金に全財産を突っ込んでしまうのも考えものですが、頭金も貯められていない状態でローンを組むと、
病気・転職・育児などの予期せぬ支出に耐えられなくなる可能性も。
生活防衛費(3〜6ヶ月分の生活費)+住宅用の頭金をバランスよく準備できるのが理想です。
まずは「どのくらいの価格の家を買いたいか」を決めましょう。
エリアや間取り、築年数などから相場を調べることが第一歩です。
たとえば、物件価格3,500万円 × 20% = 700万円
10%でも350万円となります。
この金額を目標に、毎月いくらずつ貯金すればよいかを逆算しましょう。
ボーナスや副収入も含め、収入の一部を先に“住宅用口座”へ振り分ける習慣をつけると、無理なく貯められます。
•住宅購入に使えるつみたてNISA
•贈与非課税制度(直系尊属からの住宅取得資金)
•各自治体の住宅取得支援金
など、国や自治体のサポート制度も活用することで、頭金のハードルを下げることが可能です。
家を買うときの頭金に「これが正解!」という金額はありません。
ですが、共通して言えるのは、
無理に頭金ゼロで急ぐ必要はない
ある程度の自己資金があると、金利・審査・返済で有利
頭金を入れる=安心感と選択肢を広げる“保険”にもなる
ということ。
頭金を用意することは、家を買った“あと”の暮らしを守るための大切な準備です。
焦らず、コツコツと自分たちに合ったペースで準備を進めていきましょう。